natmeの英語ブログ

英語で気になったことを掘り下げています

完了形と過去形に違いがある、、、のか?

 

 

僕が見ている教材の中で、「ブレイクスルー 改訂二版 新装版 英文法36章 ワークブック」(K. Yoshinami 他、美誠社)というものがあるのですが、(すみません、出版年まで確認できませんでした。)、今回はここから完了形の話を確認したいなと思います。

 

著作権のことなども考えて、本文そのままは掲載しません。また、個人的な見解を含む場合があります。ご承知おきください。

 

p.16 1-(2)(4)(5)

それぞれの英文にある( )内の動詞を適切な形にして英文を完成させる問題です。

 

この問題、解いた方がいらっしゃればなのですが、どうでしたか?

 

ちなみに僕は上記の問題番号について初見では全て完了形にしてしまいました。

 

もちろん、参考書をしっかりと読んで解いていけば問題無いとは思うのですが、何も考えずに解くと、こんなものです(笑)

 

ワークブックの解答には何も解説が無いのですが、僕自身ではだいたい理由は把握できました。その内容をお伝えできればとは思ったのですが、その前に、

 

完了形、皆さん、どうです?←(どうです?とは(笑))

 

というのも、実は完了表現って正確な解説が難しい概念で、確か、研究段階で解明されていないところもあったはずです。(その内容をどこで見たのか忘れてしまったので、違うところあったらすみません(汗))

 

確かに古英語の時代からある、としている論文もあるのですけれど、僕はそれに対して、「本当にそれは現代の完了表現と同一なのか?」と疑問を持っています。また、フランス語では「avoir+過去分詞」で通常の過去を表す表現として使われ始めたくらいから英語でも多用されているのではないかと思っていたりしてもいます。

(※フランス語のavoirは英語で言う所のhaveで、複合過去とも呼ばれる表現です。)

 

つまり何が言いたいかというと、確かに用法の差こそあれど、英語でも現在完了と呼ばれる表現は通常の過去形とそこまで変わらないのではないか、と僕は思っています。

 

なので、僕が完了表現を教える機会があるときは、「過去形の一種としてまずは考えてみて」と伝えて、英語を読んでもらっています。

 

ちなみに、アメリカが特にそうであると見聞きしたことがありますが(これも正確なところは未確認ですみません)、過去形の内容でも完了表現を多用することも、けっこうあるそうで。そういう所からもフランス語の影響はやはり大きいのではないかなと思うんですよね。

 

ちょっと話がそれましたが、では、完了表現と過去形を使い分けるとしたら、という論理的な感覚(もしくは読み手や聞き手の感覚)を持って彼らが話したり書いたりする場合の内容を考えてみます。

(※実際に使い分けているかは別問題です。)

 

(i) She sang for three hours.なら「彼女は3時間歌った。」

(ii) She has sung for three hours.なら「彼女は3時間も歌ったのだ。」

 

どちらも非文(文法的な誤用のある英文)ではありません。話し手の思いによってどちらがより「自然であるか」という判断基準のみが存在します。

 

少し訳出は試みましたが、話者(もしくは書き手)の感情の違いであることは皆さんお気づきでしょうか。

 

この内容を解説する際に、僕が引き合いに出すのが助動詞のcanとwillです。

 

おそらく、完了表現を学習するまでにcanやwillは把握している場合が多いですので例として挙げます。(ただ、学校ですべて英語で教えるなどしていると特にありますが、覚えていない方も少なくないことは存じております。can「~できる」、will「~するでしょう」のような表現を知らない方は時間をかけてぜひ覚えてみてください。)

 

He plays tennis. 「彼はテニスをします。」

He can play tennis. 「彼はテニスできると思います。」

 

She goes home before seven. 「彼女は7時より前に帰宅します。」

She will go home before seven. 「彼女は7時より前に帰宅すると思います。」

 

canやwillという助動詞が入ると途端に“主観”や“主張”の面が強くなるのが把握してもらえましたでしょうか。

 

動詞(playやgo)のみであれば話者(もしくは書き手)が事実(と思っている)ことを伝える英文ですが、何か個人的な感覚や経験もしくは得ている情報など、自分の中で考えた意見や主張などを伝えるのが、助動詞なんです。

 

実は、完了形を作るhaveは助動詞です。本来は時間の変化のみもたせる役割のhaveではあるのですが、特に現在完了の場合は、話者(もしくは書き手)の感情が入っている英文であることを示します。

(そのため、歴史的事実の解説や調査報告のレポートなどで完了表現を用いることは基本的にありません。)

 

その感情とは何か、それがよく言われる「3用法」の内容です。どれか1つの場合もあれば複合して使っている場合もありそうです。ついでに、なぜhaveなのかも( )内に書いてみました。

1.継続 「~し続けているぜ」(継続した状態を持っている)

2.完了 「~し終えたぜ」(完了した事実を持っている)

3.経験 「~したことあるぜ」(成し得た経験を持っている)

という感じでしょうか。ぱっと見、どうですか?なんか「自慢げ」ですよね(笑)あと、感動する際にもこの表現はぴったりですよね。ではこれら3用法のどれにあたるのか、というと、実は文脈と英文そのものの単語の意味から推測するしかありません。

 

もう一つ確認したいところとして、基本は過去形として使える完了表現ですので、

「現在行っているかどうかは判別できない」ということも注意しておきましょう。

継続用法を「今も行っている」とする解説が非常に多いですが、今も行っているなら、あえて"now"を入れる英文が多いです。完了用法との併用とはなるかもしれませんが、継続状態を終えたところである可能性もありますので、文脈から状況判断するようにしましょう。とはいえ、学校文法では完了表現の継続用法、および、継続用法のみで用いる完了進行形は、その時点でも行っているとすることが多い様ですので、教わっている教材などの解説を改めて確認してみてください。

 

いずれにしても、完了表現を用いるからには何か「現在の感情に結びつく内容」であることを示しています。そして、学校文法的な話をすると、その時点よりも「過去の時点での行動や事実」である場合には完了表現が結びつかないと考えます。

ここまで把握できると、今回の問題が解きやすくなります。

 

また、非文であるない関わらず、「その問題を見た時に自然な回答はこれである」というのが高校の英語です。文法的に表現ができるから正解、とはなりませんので、教材に取り組むときはよく注意しておきましょう。

 

1-(2)

but以降の節を見てみるとlaterがありますよね。これ、「その後で」という表現です。

そして、把握しておいてほしいポイントとして、letの時制を皆さん把握できましたか。過去形です。つまり、過去の話をしています。現在の話だとするとこの文は不自然な英文として扱うことが多いと思います。

butは逆説の接続詞ではありますが、因果関係を示すような働きはありません。

ということは事実を順番に述べている可能性が高いです。そのため、butの前と後ろで時制をずらす必要がありません。

・laterがあって時間の変化はあっても今回は同じ過去の話を続けているのみなので、後ろのletと時制を同一にします。have caughtにして現在と関係を持たせるのなら、後ろもhave letでないと、文の整合性が取れなくなります。次のレッスン内容にもまたがりますが、同様の理由でhad caughtにしても不自然な英文です。

 

1-(4)

後ろの疑問文は現在までの期間で終わったかの話をしているので完了表現がぴったりです。では前半の文はどうかというと、"last week"があります。過去の時点でどうであったかの話をする際には、現在と結びつかないので過去形を用います。

 

1-(5)

後ろの返答文は"last Saturday"があるので、1-(4)同様に過去の時点の話をしています。また、前半は"When"から始まる疑問文ですよね。過去の話で"when"を用いる場合、過去のどの時点においてそれを行ったかの事実を確認する内容ですので、完了形があまり当てはまりません。

※ただし、経験用法である場合は完了表現のまま疑問文を作ることがあるようです。また、修辞疑問文も例外として挙げられるようですが、ご興味ある方は調べてみてください。

 

whenと完了形についての関係ですが、例えば、

I have studied for three hours.のfor three hoursがwhenにはならないことはだいじょうぶでしょうか。これ、"how long"ですよね。継続用法においてはwhenを使うとその時点で継続の話ではなくなるんです。

完了用法についても、「今が終えた状態」であることを示すので、もし"when"を使うと「いつ終えた状態になるのか」という命令や催促を伴った表現に近い言い回しになりそうです。過去完了についても、「いつ終えたのか」でなく「いつ終えた状態であったのか」という問いかけたい趣旨の異なる表現となりそうです。こういったところから、whenと組み合わせるのが不自然とされるのではないかと推察しています。

 

まとめ

・butなど等位接続詞(因果関係などの発生しない接続詞)で結んだ英文の場合、指定が無ければ同じ時制で統一しましょう。ただ、過去と未来の話を同時にするなど、例外もあるため、続く動作であるかどうかは文脈(英文を表現する背景や英文そのものの意味)で判断しましょう。

・last week, last Saturday,など過去の時間を示す表現、もしくはその過去の時間がいつであるかを尋ねる疑問詞であるwhen、こういった表現を伴う英文は基本的に現在完了にしません。※経験用法など例外もあります。

 

 

長くなってしまったので今回はこの辺で。いかがでしたか。

 

分かりづらい表現もあったと思いますので、質問などはコメントいただけると嬉しいです。

 

 

ではまた(=゚ω゚)ノ

 

 

 

※this time I talked about: Breakthrough Upgraded English Grammar in 36 lessons Workbook by K. Yoshinami and others, BISEISHA (Sorry, I could not find the year of their publishing this book)