最近見ている教材に『ELEMENT English Communication Ⅱ』(卯城祐司 ほか、新興出版社啓林館、令和4年:2022年)があるんですが、こちらで気になった表現があったので、そこを少し確認してみたいと思います。
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p.14 ll.1-9 (最初の2段落)
文章全体では文化間の会話の違いやその根底にあるcontextの考え方を中心に、話し方の違いや世界で見た時の文化の豊かさ(文化の違いが豊富にあること)といった内容を話しているのかな、と個人的には思っていますが、特に言語活動における文化的な違いを中心に展開されているようです。
今回はその導入部である最初の2段落で、とある単語の使い方で気になるところがありましたので、その内容を少し考察してみたいなと思います。
とはいえ、急に本題に入ると「そもそも読んでない」という方が多いのかなと思います。ぜひすべての単語をしっかり向き合ってから大意をつかむ流れまで、一通り「読む」という技術を日本語でも英語でも育んでみると、色んな所で役立つかもしれないですね。
で、目を通してないと今回の話はたぶんチンプンカンプンだと思いますので、ざっとこの2段落で文法的に気になったところを解説したいと思います。
1段落目
・imagineから始める文が2つ並んでいます。imagineが動詞であることは皆さん大丈夫でしょうか。「イメージする」という日本語に引っ張られてimageが動詞と覚えている人が意外といるように思いますが、imageは名詞です。、、、と覚えている方も多いですよね。基本的にimageが名詞、その動詞形がimagineで覚えてもらいたいのですが、imageに動詞用法も確かにありますので、imagineという動詞もあるというように把握しておくと良いかもしれません。
・動詞から始まる英文、疑問文以外だと通常はなんでしょうか。、、、命令文です。つまり、この文章は読者に「想像してみてください」と話しかけています。
・each other「お互い」という表現、必ず覚えておきましょう。
・3文目はwouldから始まっています。疑問文ということは元の肯定文が何か考えて意味を捉えましょう。なぜwouldなのでしょう。
・long-term このようにハイフン「-」でつないだ表現で形容詞を作ることがあります。
・compared to... p.150に例文が載っていますが、熟語と捉えても良いですし、カンマなしで用いる分詞構文と捉えても良いです。(熟語の場合でも元々分詞構文として使っている表現だと思われます。)
・talk a lot about ... a lotは程度の副詞として扱います。つまりtalkについてその量がたくさんであるという表現で、a lotがtalkの修飾(説明)です。talk about....で「…について話す」という表現です。
・what ≒ the thing(s) which 関係代名詞(もしくは疑問代名詞)がある時はそれが後ろに続く節のどこに入るか考えましょう。今回はshareの目的語(shareをする内容)がwhatに該当します。
2段落目
・1文目のbe compared toは1段落目の分詞構文とは違い、通常の受動態です。
・thousandが数字の「千」であるとすぐ出てくるようにしておきたいですね。
・on the other hand「一方で」だいたい逆接であることが多いですが、純粋に同時であることを示す場合もあります。今回は逆接と捉えて差支えなさそうです。
さて、ざっと気になったところをいくつか解説してみました。和訳はしませんが、少し読みやすくなると良いなぁ、とおぼろげに期待しつつ。
この2段落で何が気になったか、それは"couple"の単複の扱いです。
じっくり読んだ方がいらっしゃれば確認してみたいのですが、皆様、動詞の活用、気になりませんでしたか?
1段落目で
a couple who has // another who has // those who have // what they want
2段落目で
the couple who have
1段落目のwhat they wantについてはa coupleを言い換えるとtheyにせざるを得ませんので、まぁ、分かります。ちなみにanotherはanother coupleの省略と捉えています。
what they wantを外したとしても、動詞の活用で三人称単数現在形でhasとしているのが2つ、複数形でhaveとしているのが2つあるんですよね。
ちなみに辞書上は意味合いで1組を意識するなら単数で、2人であることを意識するなら複数、のように、やはり話者(もしくは書き手)の主観によるようです。
あ、もちろん、those whoをa coupleの言い換えとするのはちょっと強引かもしれないのですが(笑)とはいえ、文脈上は明らかにthe coupleの言い換えですけれど。
those whoを外しても、coupleについて2:1で単複どちらでも扱っているんですよね。
強いてあげるなら、a couple, another (couple)は不特定で新しく話題にあげた対象、the coupleは既に上げた特定の対象(今回はimagineした対象なので分かりづらいですが、読者が一度思い浮かべたはずのcoupleについてなので、特定の対象)、という違いはあるかもしれません。
でも、普段使うときは、やはり、1組と考えるか、2人と考えるか、その違いくらいではないかと思います。
いずれにしても、読むときはどちらのパターンもありうると思っておくのが良いかもです。
まとめ
・coupleを単数としても複数としても扱う。
・coupleを単数とするか複数とするかは、話者(書き手)がどのようにその相手を捉えるかによって変わります。そのため、読むときはどちらもありえると思っておきましょう。
こうなると作文で苦労するかもしれませんが、まずは教科書をしっかり音読できるように頑張りたいところですね。(ストリーミングできる音声がGA(アメリカ英語)では無いみたいなので、アメリカ英語を使う機会が日本は多いと思いますので違いには注意ですが、聞きながら発音練習するのもありはありです。)
※補足
a couple of weeksのように、単位として使う場合もありますので、coupleだから「人」という断定はしないように気を付けておいてください。気になる方は調べてみてくださいね。
今回はこの辺で。
ではまた(=゚ω゚)ノ
※this time I talked about: ELEMENT English Communication Ⅱ by Yuji Ushiro and others, KEIRINKAN, 2022