natmeの英語ブログ

英語で気になったことを掘り下げています

完了表現におけるgo

 

 

今回も「ブレイクスルー 改訂二版 新装版 英文法36章 ワークブック」(K. Yoshinami 他、美誠社、2015年)というものがあるのですが、その中から気になったものを書き出してみようと思います。

 

著作権のことなども考えて、本文そのままは掲載しません。また、個人的な見解を含む場合があります。ご承知おきください。

 

また、今回はあえて載せないのですが、これまでの記事に現在完了の内容を何度か書いていますので、気になる方は以前の記事をご参考にしてみてもらえると色んな記事を読めるかなと思います。(読むか読まないかはお任せします。ご自身の都合や調子などを優先してくださいね。)

 

今回の所から、現在完了か過去形か、現在完了進行形か、のみでなく、過去や未来における完了表現、ほかの内容も入ってきます。

 

p.18  1-(1)

・2つの文が並んでいますが、その2つが関係性のある英文として、捉えます。その前提は大丈夫でしょうか。なので、問題の箇所だけ読むのでなく、最初から読んで、ここに入る自然な表現は何かを考える問題ですので、2文目だけしか見ない、というような解き方はしないように気を付けてください。把握している方が多いとは思いますが、2文目のみで解答しようとすると原形以外はほぼ入れることが可能です。

 

(現在形のつもりで"go"とした場合は、三人称単数現在形の理解から始めてもらうと分かりやすいと思います。また、問題文をちゃんと読む癖もつけていけるとよいですね。というのも、問題文に"現在完了形、過去形、過去完了形のいずれか"という指定がありますので、みなさんが読む力を持っているかも問題では見られています。)

 

解く、という観点からのみ解説をしますと、1文目で彼はいなかったため、その時点(過去形の示す時点)に対して、今はいない彼が"go home"したのはいつなのか、(と考えるのが自然でしょうか、)という問題です。

 

このページにあるLesson8は高校英語レベルの内容に入りますので、ちょっと心構え的なものも含めて今回は掘り下げてみたいなと思います。

 

1.解くための考え方

今回の問題ですが、会話や報告の様なものでなく、小説などの色んな可能性が出てくる話なら答えは一つではありません。ですが、高校英語以上のレベルでは「その問題ではどの選択肢が最も自然であるか」が問われます。

 

問題の中には文法上可能であるかどうかを問う場合もありますが、今回はそうではありません。問題の文章全体を見て、「言いたい表現はおそらくこれになる」という推測的・論理的な考え方が必要なのです。と同時に、色んな熟語表現や慣用表現があり、それらの中でふさわしいものを選ぶ場合もありますので、高校英語以上のレベルでは知識量も求められます。場合によっては語用論(実践的な英語の使い方)を無視した問題も少なくありません。でも知識面については、学ぶからこそ覚えていけますので、できるだけ多く解いて、分からないものほど解答や解説を確認していきましょう。

 

(実践的でないものに価値を感じない方も多いかもしれませんが、目的は使うことではないのです。英語に対して「考えることが出来るか」という観点です。つまり、その文法や表現をちゃんと使えるかどうか、理解しているかどうかを確認するための問題作成もあります。そして盲点なのが、「使わないだろ」と思うものほど、英語で表現する中で意外と使うタイミングは来ます。実際に生きている方々が使う、日常生活で使われる言語ならではですので、どういった場面で使えるか、なども考えておくと面白いです。)

 

ちょっと話がそれましたが、要は、その英文が正確に理解できていて、選択肢も使い方含めて理解できていることが前提となる、ということです。

 

もちろん最初からそれはできませんので、こういう問題集があります。解いてみた時に「何故できなかったんだろう」という観点で振り返って解きなおして覚えていく、そのための問題集ですので、解くだけで終わらないように気を付けていきたいですね。

 

その中で、問題集を見ても、対応の教科書を見ても、参考書を見ても、「何故?」という模範解答である場合はよくあります。僕の場合もつい最近までそうでした(笑)←

 

実際に色んな生徒さんに同時進行で複数の出版社さんの文法教材を確認してから解説をすることが多かった中で、僕自身の持っていた色んな理論ともくっついてきて、理解できるようになったことも多いです。辞書もネットの情報も、語源的な内容も、全てひっくり返しながら見比べて理解できた表現もあります。ですが、これは僕自身がある程度英語の知識を蓄えた上で、時間をかけて確認しています。

 

なので、特に学生さんの場合は、分からない表現は、調べても良いのですが、1時間以上かけて分からないものは誰かに訊く、もしくは無視して暗記した方が早いかもしれません。使えるようになって初めて理解できることも、実はあります。日本人が日本語を覚えるのも本来はそうだと思います。ただ、理解できるようになったうえで、「何故?」を追求してみると、かなり深く理解できることもあります。そういった目線で考えることが好きな方は研究者も向いているかもですね。

 

さてさて、自分語りをしちゃいましたが(笑)←、問題に戻りましょうか。

 

問題の解き方、これを作文する場合におさえておきたいポイントについて、このあとお伝えしていきます。あ、ちなみに、まとめ1はありません。ただ僕が思うことを書いただけなので、参考にしてもらえれば、、、参考になりますかね?たぶんなったと信じて次に行ってみます(笑)

 

 

 

2.完了表現の使い方

過去完了や未来完了について、僕の中では現在完了とは大きく違っているところがあります。それは、「純粋な時間表現として完了表現を使う」ことが出来る点です。

 

だからと言って、過去形がある時にそれより過去なら全て過去完了かというとそうではありません。結局のところ現在完了と同じく「話者(書き手)が言いたいことがある」時にあえて過去完了にすることが多いです。ただ、現在完了の3用法に厳密にとらわれる必要はありません。

 

(i)Yesterday evening, I studied for half an hour, I took supper, I took a bath, I prepared for tomorrow and I went to bed.

 

(ii)I had to go shopping because there had been nothing in the refrigerator.

 

(i)のように前後に何か因果関係があるわけでも、強調したいところがあるわけでもなく、事実を並べて述べていくような場合に、完了表現をする必要がありません。今回の問題も1文目の前半と後半で時制は変わらずどちらも過去形ですよね。

 

(ii)では「買い物に行かないと行けなかった」という過去の時点において、その理由となる内容がそれよりもさらに過去にあったことを伝えるために、「冷蔵庫の中がすっからかんだったもので」という表現を続けています。これは表現する人によって感情が変わりますが、例えば、

・買い物や外に行くのが好きな人が外出の理由が無かった中で「冷蔵庫の中身が無いから買う、という外出の口実ができてうれしい」

・外に行くのが億劫で「冷蔵庫の中身が無いから買いにいかなくてはならない、いやいやだけど行くしかない」

・やることがたくさんある中で「冷蔵庫の中身が無いから買いに行かなくてはならない、という義務的なところであるからちゃんと行く」

 

、、、ちなみに皆さんは、僕の作った例文でどの感情をイメージしましたか。僕は真ん中です(笑)← ただ、文脈によって、つまり、場合によって、どの感情であるかは、表現する側もいろいろなパターンがあるでしょうし、読み手や聞き手も判断して考えていくことになります。

 

こんな感じで、そもそもbecauseが感情を伴う表現であることも多いと思うのですが、こういう感情の揺れ動きが多少伴うからこそ、「それよりも過去にこういうことがあったから」という言い回しを使いますよね。でなければ「買い物に行った」ということを言えば良いだけです。理由を話す必要はないですよね。

(理由を持った行動と言うのは感情を伴う物であって、何か原因になりそうなものがあっても何も感じていないならば行動と結びつかないはずです。つまり、行動の理由があるということは、行動の原因に対して何かしら思う所があった、ということになるはずだ、と僕は考えています。ただ、becauseが修飾する動詞によっては関係ない場合もありますので、その場合はあしからず。)

 

であればこそ、過去の時点の話をしている中で、その原因としてそれよりも過去の話をする場合には、何がしかの感情を表現する「法」(動詞の使い方で話者および書き手のその動詞に対して示す考えを表すもの)というものを示すために助動詞のhaveを使って、過去完了にする、というのがしっくりくることになると、そう考えていくのではないかなと思います。

 

ただ、その理由が必ずしも、その時点よりも過去とは限らない(同時に起こっているなどの)場合もあるので、becauseがあるから過去完了、というわけでもありません。例文にはしましたが、この点はご注意ください。

 

まとめ2

・過去や未来における完了表現は、その時点よりも前であることを明確に示すために用います。感情を伴うことのみを理由につくることが出来る現在完了よりも時間的差異を作る性質がより強く現れます。

・「~した」「~しなかった」は過去形で表します、それに対してさらにさかのぼる内容を示すのが過去完了です。とはいえ、必要なく過去完了にはしません。過去形では表現できないものを表現する中に「過去の過去」を表す過去完了があります。現在完了もこの性質がありますが、何かの感情を伴ってあえて言いたいことでなければ、この過去完了にはしないのが、基本です。(実際の会話では色々あります(笑)←)

 

3.go homeという概念

みなさん、"go home"という熟語的によくあらわれる表現の意味は大丈夫でしょうか。これ「帰宅する」と訳しますけれど、日本語と若干意味の幅が違います。

 

まずは言い換えるとどうなるか見てみますね。

帰宅する ≒ 1. go home   2. get[arrive] home

1.と2.どちらも日本語では「帰宅する」と言えるのは大丈夫でしょうか。

つまり"went home"や"had gone home"と言ったとしても、"He is on the way home."(彼は帰宅の道中である)の可能性が出てくるということです。

 

ちなみに、homeの前にtoやatは付けません。これらの場合、homeは副詞として使います。

 

今回はgo homeで「家に帰るためにその場所を出る」という表現です。なので、現在形だと「これから出る」、過去形だと「出た」ことを示します。家に着いたという意味ではありませんので、そこはご注意ください。

 

今回は問題全体で意味を考えると、「彼は帰宅してしまった後で、彼はいなかった」ということを言いたいのではないかと推測をします。すると、「彼がいなかった」という時点よりも前であることが明確なのと、「帰宅したからいなかったのだ」という理由として示しているため、過去完了がしっくりくる、という考え方です。

 

これはどんな感情かはわかりません。これを表現している人が誰かにもよりますが、

・もともと帰宅する用件があるのを分かっていて、話者(書き手)が間に合わなかったという残念な気持ち

・なぜかいないので確認したところ、なんと帰宅したのだ、という驚き

、、、などなど他にもあるかもしれません。

 

becauseも何もないですが、事実を並べるだけであれば、内容的に、わざわざ「彼が帰ったこと」を表現する必要はないはずです。にもかかわらず言うということは、「(なぜいなかったのかと言えば)彼はそれよりも前に帰ったのである。」という、その時間よりも前に何があったかを表現するために入れていると考えるのが自然であるとここでは判断される、ということではないかと思います。

 

まとめ3

・go homeは「これから帰宅するためにその場所を出る」ことを示しています。現在形であればまだ出てはいないか、いつ出ているかの習慣を示す場合もあります。過去形や過去完了であれば「帰宅した、つまりその場所を出た」ことを示します。

・その英文がなぜあるのかを考えた時、「わざわざ言う」理由を考えると、前の文に何か足そうとしている場合もあります。接続詞などが無いからと言って無関係ではない可能性もありますので、つながりを考えて、動詞を活用・変化させてみましょう。

 

 

長くなってしまいましたが、

 

今回はこの辺で。いかがでしたか。

 

分かりづらいところもあるかもしれません。何か不明点などあればコメントいただけると嬉しいです。

 

 

ではまた(=゚ω゚)ノ

 

※this time I talked about: Breakthrough Upgraded English Grammar in 36 lessons Workbook by K. Yoshinami and others, BISEISHA, 2015.