ここまで受動態の内容を行ってきましたが、受動態の次のレッスンに入る前に今回は普段の教材を離れて少し文法の内容を書こうかなと思います。
色々書き始める前に、まずはいつもの内容+αから。
※著作権のことなども考えて、基本的には何かの教材の本文そのままは掲載しません。(ただし、誰でも作れる文章など、著作権にかかわらない範囲で作文することはあります。)また、ウィズダム英和辞典 第3版を主に参考にしていますが、個人的な見解を含む場合があります。ご承知おきください。
よく使う用語をいくつか
・節---主語+動詞の組み合わせを含むまとまり
・句---複数の語で作るまとまりで、主に一つの品詞のように扱うパターンに用います
・非文(" * "で示します)---文法や語用論などからみて誤りと判断される未完成な表現
・不定詞---動詞の原形
また、今回もあえては載せていないのですが、これまでの記事にもあれこれと書いていますので、気になる方は以前の記事をご参考にしてみてもらえると色んな記事を読めるかなと思います。(読むか読まないかはお任せします。ご自身の都合や調子などを優先してくださいね。)
さて、以前書いた受動態の解説記事(受動態に向けて)で次の内容を書きました。
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受動態を考える際にぜひ知っておきたい点があります。
1.主語と組み合わせを作る動詞はbe動詞
2.過去分詞は主語を説明する形容詞(的役割)
3.過去分詞が修飾する名詞はもともと動詞の目的語
4.他動詞以外の動詞でも"be+過去分詞"の組み合わせを作れるが異なる意味
5.受動態にしないことの多い表現、受動態でしか表さないことの多い表現
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この5つの内容が前提にすると、今扱っている教材の「受動態(1)」はだいぶ解きやすくなるのではないかなと思い書かせてもらいました。
そして、高校の教材で扱われる内容になると、少し複雑、、、と恐らく高校で学んだ僕もそうだったかなと思いますが、高校で学ぶとそう感じる方も少なくないかもしれません。ですけれど、おそらく悩むのは語順と語彙だと思います。
高校以上のレベルで文法的に新しく気を付けたいのは、、、おそらく2点です。
6. (原形不定詞と言われますが)toを用いない不定詞を補語に置く表現を受動態にする際に、受動態ではtoを追加する
7. (受動態ではない表現ですが)「-ing形」や「to+不定詞」が受け身の意味で用いられることがある
特に7.は気づかずに扱っている学習者や英語話者の方も少なくないかもしれません。なので、扱われない教材もあるかもしれません。でも、出てくると「何故、、、、」と疑問に思う所ですので、理由のないところが多かったりもしますが、「そういう表現がある」ということは知っておけると、貴重な時間を不要に削ることが防げるかなとも思いますので、少し書いてみようかなと思います。とはいえ、受動態そのものでは無いため、受動態の単元では扱わず、分詞などの単元で扱うことが多いかと思いますので、軽く目を通すくらいでも良いかなとは思います。
では、実際どういうものか書いてみようかと思いますが、6.や7.以外に高校で扱う部分も含めて解説してみますので、最初は復習も兼ねた内容を少し書きます。
(前回が項目5.まで作りましたので、その続きとして考えてみます。)
5.5 高校以上のレベルで主に扱う応用の受動態
上にも書きましたが、以前受動態についてまとめた記事(受動態に向けて)で基本的な作り方はまとめています。
受動態の英文を作る際には、英文の主語の人称と、元の能動態の英文における法と時制、それぞれに合わせて、be動詞を活用や変化などさせていきます。
・時制の中で、、、おそらく進行形は高校レベル以上でよく扱われます。
加えて、
・法について、法動詞[助動詞]を扱う、なおかつ、時制にかかわる部分で、、、完了表現もおそらく高校レベル以上で良く扱われます。
以前、法動詞について書いた記事(助動詞は不定詞にならない、、、の例外)でも書きました通り、完了表現のhaveは法動詞と一般動詞の中間的な立場です。
また、進行形で扱うbe動詞は、普通の動詞なのか、法動詞[助動詞]なのか、定義が実は曖昧なところがあります。(おそらく辞書などでは進行形や受動態で扱うbe動詞は法動詞[助動詞]としているところも少なくないかもしれません。)
(僕から見ると、法動詞と他の動詞を品詞分けしなくて良いのではないかと思いますが(笑)これは個人的な意見ですので、あしからず、です。)
この二つの表現を扱うので、どうしても、構えちゃうところはあると思います(笑)
さらに、動詞句[群動詞]もよく扱われます。動詞句が把握できていれば受動態にするだけですが、これも語順で分からなくなりやすい所の様です。
さて、これらの受動態ですが、基本的な作り方をそのまま取り込んでいくだけです。
序Ⅱで扱いましたが、作り方を振り返ってみますと、
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Ⅱ-1.目的語の有る能動態の英文から、目的語のみを取り出し、新しく作る英文の主語にします。
※もともとO(目的語)だったものをS(動詞の主語)として英文の先頭に置きます。
能動態 (S)Taichi (V)plays (O)this piano.
→受動態 (S)This piano
Ⅱ-2.受動態の英文の主語の人称と、元の能動態の英文における法と時制、それぞれに合わせて、受動態の英文にbe動詞を追加します。
※能動態は直説法現在形、受動態の主語は3人称単数、なので、直説法3人称単数現在形の"is"を用います。
能動態 (S)Taichi (V)plays (O)this piano.
→受動態 (S)This piano (V)is
Ⅱ-3.能動態の動詞を過去分詞にして、受動態のbe動詞の補語にします。
※playsの原形はplayです。playの過去分詞はplayedとします。
能動態 (S)Taichi (V)plays (O)this piano.
→受動態 (S)This piano (V)is (C)played
Ⅱ-4.能動態の中で、主語以外に受動態で使っていない要素があれば、そのまま受動態の補語の後ろに続けます。
※今回は特にありません。
Ⅱ-5.必要があれば、能動態の主語を"by+目的格"の形式で「~によって」と書き換えて、受動態の文末に置きます。
※Taichiは目的格もTaichiですので、"by Taichi"を入れます。
能動態 (S)Taichi (V)plays (O)this piano.
→受動態 (S)This piano (V)is (C)played (M)by Taichi.
※補足
Ⅱ-4、Ⅱ-5、で受動態に入れる各表現は語順が場合に依って変わります。
例えば、、、
Taichi played this piano three hours.
→This piano was played three hours by Taichi.
→This piano was played by Taichi for three hours.
この場合、"by Taichi"と"(for) three hours"の内、より強調したいものを後ろに置きます。
基本的な作り方は以上の内容かなと思います。
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このⅡ-1~Ⅱ-5を、進行形や完了表現で行っていくだけです。基本的にはⅡ-2で"法や時制を引き継ぐ"ところで、be動詞に進行形や完了表現を引き継ぐことをします。
5.5-1 (S)He (V)is playing (O)this piano.
この進行形の能動態を受動態に書き換えてみます。
(S)(V)(O)(C)(M)を日本において考える際は、(V)の法や時制を省いた状態で考えます。進行形の場合は、本来be動詞が主な動詞ですが、その後ろの-ing形のみで目的語などを考えていきます。
Ⅱ-1~Ⅱ-5を順番にやっていきますと、
Ⅱ-1.目的語の有る能動態の英文から、目的語のみを取り出し、新しく作る英文の主語にします。
→This piano
Ⅱ-2.受動態の英文の主語の人称と、元の能動態の英文における法と時制、それぞれに合わせて、受動態の英文にbe動詞を追加します。
受動態の主語は3人称単数
能動態では直説法現在形の進行形(be+-ing)
なので、3人称単数現在形、なおかつ、進行形(be+-ing)、の状態でbe動詞を追加します。
つまり、"-ing"のところにbe動詞を入れます。
be動詞で進行形を作るということです。ちなみにbeの-ing形は"being"です。
→This piano is being
Ⅱ-3.能動態の動詞を過去分詞にして、受動態のbe動詞の補語にします。
→This piano is being played
Ⅱ-4.能動態の中で、主語以外に受動態で使っていない要素があれば、そのまま受動態の補語の後ろに続けます。
※今回は特にありません。
Ⅱ-5.必要があれば、能動態の主語を"by+目的格"の形式で「~によって」と書き換えて、受動態の文末に置きます。
→This piano is being played by him.
考え方として、ですが、
「進行形を受動態にする」とよく教わりますが、
「受動態を進行形にする」と覚えてもらうと、語順でのミスは減らしやすいと思います。
"be+過去分詞"で作った受動態を、進行形にする、というように把握してもらうのが良いと思います。受動態の主な動詞はbe動詞ですので、be動詞を過去形や未来表現にするように、進行形にもします。そういう内容かなと、僕は考えています。
5.5-2 (S)He (V)has played (O)this piano (M)since this morning.
この完了表現の能動態を受動態に書き換えてみます。
(S)(V)(O)(C)(M)を日本において考える際は、(V)の法や時制を省いた状態で考えます。完了表現の場合は、本来法動詞のhaveが主な動詞ですが、その後ろの過去分詞のみで目的語などを考えていきます。
Ⅱ-1~Ⅱ-5を順番にやっていきますと、
Ⅱ-1.目的語の有る能動態の英文から、目的語のみを取り出し、新しく作る英文の主語にします。
→This piano
Ⅱ-2.受動態の英文の主語の人称と、元の能動態の英文における法と時制、それぞれに合わせて、受動態の英文にbe動詞を追加します。
受動態の主語は3人称単数
能動態では直説法現在形の完了表現(have+過去分詞)
なので、3人称単数現在形、なおかつ、完了表現(have+過去分詞)、の状態でbe動詞を追加します。
つまり、"過去分詞"のところにbe動詞を入れます。
be動詞で完了表現を作るということです。ちなみにbeの過去分詞は"been"です。
→This piano has been
Ⅱ-3.能動態の動詞を過去分詞にして、受動態のbe動詞の補語にします。
→This piano has been played
Ⅱ-4.能動態の中で、主語以外に受動態で使っていない要素があれば、そのまま受動態の補語の後ろに続けます。
→This piano has been played for three hours
Ⅱ-5.必要があれば、能動態の主語を"by+目的格"の形式で「~によって」と書き換えて、受動態の文末に置きます。
→This piano has been played for three hours by him.
考え方として、ですが、
「完了表現を受動態にする」とよく教わりますが、
「受動態を完了表現にする」と覚えてもらうと、語順でのミスは減らしやすいと思います。
"be+過去分詞"で作った受動態を、完了表現にする、というように把握してもらうのが良いと思います。受動態の主な動詞はbe動詞ですので、be動詞を過去形や未来表現にするように、完了表現にもします。進行形と同様に、そういう内容かなと、僕は考えています。
5.5-3 補足 自動詞+前置詞などで、動詞句を作り、他動詞として用いるパターン
動詞句もしくは群動詞と言われる表現の受動態です。
自動詞は基本的に受動態を作れません。目的語を伴うことが出来ないためなのは、以前の記事(受動態に向けて - natmeの英語ブログ)でも少し触れました。なのですが、動詞+前置詞などで動詞句(複数の語で1つの動詞の役割を持つ表現)を作り、他動詞の様に使っている表現があります。一部の動詞句では受動態も作ることが出来ます。
※動詞句がすべて受動態に出来るわけでは無いようですので、教材に出てくる表現をまずは覚えることをお勧めします。
例えば、
(S)He (V)laughed at (O)the dog. 「彼はその犬のことを笑った。」
という表現があるとします。これは"laugh at"で一つの動詞として扱うことが可能です。そのため、laugh atの後ろが目的語として捉えることが出来ます。
※laugh atで考えればthe dogが(O)ですが、laugh単体で考えれば"at the dog"が(M)です。細かく文法を問うような問題がある場合は気を付けると良いかもしれません。
こういった動詞句の場合、後ろの"at"などに"-ed"は付けられませんので、最初の動詞で変化や活用を加えていきます。
ですので、"laugh at"の過去形および過去分詞は"laughed at"です。
これで受動態を作ることが可能です。作り方は基本的に一緒です。
Ⅱ-1~Ⅱ-5を順番にやっていきますと、
Ⅱ-1.目的語の有る能動態の英文から、目的語のみを取り出し、新しく作る英文の主語にします。
→The dog
Ⅱ-2.受動態の英文の主語の人称と、元の能動態の英文における法と時制、それぞれに合わせて、受動態の英文にbe動詞を追加します。
受動態の主語は3人称単数、
能動態では直説法過去形
なので、3人称単数過去形の状態でbe動詞を追加します。
be動詞で過去形を作るということです。ちなみにbeの3人称単数過去形は"was"です。
→The dog was
Ⅱ-3.能動態の動詞を過去分詞にして、受動態のbe動詞の補語にします。
※今回"at"までが能動態の動詞扱いですので、"laughed at"で入れます。
→The dog was laughed at
Ⅱ-4.能動態の中で、主語以外に受動態で使っていない要素があれば、そのまま受動態の補語の後ろに続けます。
※今回はありません。
Ⅱ-5.必要があれば、能動態の主語を"by+目的格"の形式で「~によって」と書き換えて、受動態の文末に置きます。
→The dog was laughed at by him.
この動詞句[群動詞]の受動態は特に並び替え問題などでよく出題されるようにも思いますので、語のまとまりを意識しておけると良いかもしれません。
本来はここからがメインですが、、、かなりここまでで長くなりましたので(笑)
実際の内容は教材を確認する際にも見ていけますので、6.や7.は簡単に書いてみようかなと思います。
6. (原形不定詞と言われますが)toを用いない不定詞を補語に置く表現を受動態にする際に、受動態ではtoを追加する
使役動詞、知覚動詞といった動詞にtoを伴わない不定詞を補語に置くことがありますが、それらも受動態を作ることが出来ます。その場合、不定詞が主語と組み合わせを作る動詞か過去分詞に続く補語か、判別がつきずらいこともあるためだと思いますが、to+不定詞に書き換えて表現します。
6-(i) (S)She (V)made (O)him (C)clean the room.
→He was made to clean the room by her.
6-(ii) (S)They (V)saw (O)him (C)walk his dog.
→He was seen to walk his dog by them.
但し、使役動詞については、「自然にそうせざるを得なかった」のような意味でmakeを用いたり、「してもらう」という意味のhaveを用いている能動態の英文などについては、受動態に出来ないようです。
7. (受動態ではない表現ですが)「-ing形」や「to+不定詞」が受け身の意味で用いられることがある
これもいくつか代表的な単語がいくつか本当はあるのですが、受動態ではあまり扱われないかなと思いますので、1つずつ。
7-1 need doing「~される必要がある」
He needs to wash his car. ≒ His car needs washing.
「彼は彼の車を洗う必要がある。」≒「彼の車は洗われる必要がある。」
7-2 be to blame「責めを負うべきである、責任がある」
(非難を受けるべきである、責任を負わされるべきである、という意味合いから。)
The person is partly to blame for it.
「その人物はそれについての責任が部分的にある。」
もともと、-ing形もto+不定詞も主語と組み合わせを作っていない動詞の状態ですので、過去においては能動態と受動態のどちらも表現できたそうで、それが残っている表現は現代英語にもあります。もちろん、どれがより自然か、は場合に依りますので、必要に応じて理解したり使ったりできるとより良いですが、まずは教材の内容から覚えてみるのが良いと思います。
今回はこの辺で。いかがでしたか。
分かりづらいところもあるかもしれません。何か不明点などあればコメントいただけると嬉しいです。
ではまた(=゚ω゚)ノ