natmeの英語ブログ

英語で気になったことを掘り下げています

助動詞は不定詞にならない、、、の例外

 

ここのところ、完了形のはなしをいくつか書かせてもらったのですが、

 

今回は一旦教材から離れて、追加の確認をしたいと思います。

 

完了形を用いたとある表現についてお伝えしようかと思うのですが、

この話の前提として、そもそも、助動詞の後ろに助動詞が置けないことは皆さん大丈夫でしょうか。

 

英語を苦手という方もそうですが、帰国子女の方であっても、英語専攻の学生の方であっても関係なく、文法演習や作文練習に親しみが無い方の中には

*I will can playing the piano.

というような表現を普通に作ってしまうことが、少なくないのではないかと、これまで学んだり教えてきた経験から、思います。

ちなみに、この英文でおかしいところが2つあります。語用論的な話も含めれば3つ以上ありそうですが、まずは非文(文法的に誤りがある、あるいは意味が通らない未完成の文を非文と言い、文頭や誤りのある部分にアスタリスク「*」を付けて示すことが多いですが、そういった状態の文)であるところを無くすことのみ考えてみましょう。

 

 

1.助動詞の後ろは不定詞(動詞の原形)である


不定詞という表現は本来toは関係なく、主語が不定(定まっていない状態)の動詞のことで、学校文法で言うところの「動詞の原形」こそが不定詞です。たまに、英語を専門とする研究者でもご存知ない方がいらっしゃるかもなぁと、感じることがありますが、それはさておいておきます。

(日本の英語教育ではあえて「to+不定詞」を不定詞として扱うこととしています。ここはジレンマがあるところかもしれませんが、学習者の皆さんは承知おきください。ただ、僕はそれだと解説が出来ないので、本来の「不定詞」の定義を伝えることが多いです。)

 

助動詞とされるものの多くは後ろに不定詞(動詞の原形)を伴います。完了表現のhaveは特殊なのでここでは例外としても差支えありません。(本来は助動詞だから不定詞を伴うというものではないのですが、この点はまた機会があれば書いてみたいです。)追記しておくと、一般動詞の疑問文で登場するdoも助動詞ですね。doそのものは活用しますが後ろに続く動詞は不定詞です。

 

なので、今回例にした英文でwillを外して考えますと、
*I can playing the piano.
では助動詞のcanの後ろに不定詞が来ないと非文なのです。
I can play the piano.
とすると「(私は)私がピアノを弾くことができ(ると考えてい)ます。」という意味合いの文が作れます。

 

2.法を持つ助動詞は同時に述語動詞にはなれない。

willは決まっている予定や事実、あるいは経験から、「(おそらく)~することになる(だろう)」というような表現を示していると僕は考えています。自分がしようと考えている、周りの状況からすることになると判断している、経験や知識からそうなることを推測している、そういった言い回しです。ただ「ぜったいではない」というところと、「自らの意思でしようとしている」、という所のどちらももっている助動詞です。

 

対して、canは決まっている予定や事実、あるいは経験から、「(可能性として)~することは(十分に)ありえる」と考えたり、判断したり、推測したりしている表現です。

 

どちらも話者(書き手)の主観や意見を、どのくらいの程度でそれが事実となりえるかを表しています。canとwillで主張したい強さや内容が異なります。

 

He will play the piano. 「彼はピアノを弾く(ことになる)でしょう。」

He can play the piano. 「彼は(実際に弾くかは別として)ピアノを弾くことはできる(と思います。)。」

 

例えばこれが、I want to ask him to play the piano. Is it possible that he plays?

に対して2つの例文のどちらかが答えなら、「彼がピアノを弾く」ことの可能性の高さがどちらで答えるかによって異なるのを確認できましたか。

 

なので、willで話す内容と、canで話す内容と、どちらで話すかで話者(書き手)の考える可能性に違いが出てくるということです。

 

なので、willとcanが同時に一つの主語に対して含まれている場合、話者がどっちの気持ちで話しているのか分からなくなります。とはいえ、どちらも示したいなら"will and can"という強引な作り方も可能です。

 

ちなみに、こういった、英文に対する話者(書き手)の意思や感情を表すのが「法」と呼ばれる文法事項です。

 

で、その法の内容を示すのが、実は動詞の活用なのです。

 

(a) He plays the piano.

(b) He can play the piano.

 

皆さん、(a)ではplaysが三人称単数現在形ですよね。

(b)について、学校ではどう習いましたか?「活用が無くなる」と教わる方も多いのではないでしょうか。実際に僕はそう学んだ記憶があります。

ですが、(b)は主語があるからには組み合わせとして活用している動詞が必ずあります。活用している動詞は何でしょうか。それを把握するためには、、、

Yes / Noで答える疑問文を作ってみましょう。

 

(a2)Does he play the piano?

(b2)Can he play the piano?

 

分かりますか?(a2)ではdoが動詞として活用するように変わります。

(b2)では助動詞のcanがひっくり返りますよね。フランス語などを学ぶと分かりますが、本来、英語では主語と組み合わせになっている動詞をひっくり返すことで疑問文を作っています。ということはcanが主語と組み合わせになっている三人称単数現在形である、ということです。

歴史的背景もあり、多くの助動詞では見た目が変わりませんが、主語と組み合わせるということは「活用した結果無変化」なのであり、活用が無くなるわけでは無いんです。

本当は述語動詞の定義にも踏み込みたいところなのですが、長く、複雑になりすぎますので、今回はこの辺でとどめておきますね。

 

 

法を含む動詞として、willもcanもあり得るかどうかの推測や意見を示します。ちなみに法を含まないと表現できない動詞として扱います。ということは主語と結びついて活用しないと使えない、ということです。ですので、主語と結びつく動詞は1つしかできないことからも分かる通り、1つの英文の構造(主語+動詞の枠)に助動詞は1つしか入れようがありません。でなければ上述の通りandなどを使って無理やりつなぐことが必要です。

 

なのでどちらの気持ちなのかを決めて主語と結び付く動詞とする必要があり、もう一方の意味合いを出したいときは助動詞以外で表現する必要があります。

 

そのため言い換え表現なども多用されるため、覚えておきましょうとよく言われます。

 

will ≒ be going to

can ≒ be able to

 

He will be able to play the piano.

He can be going to play the piano.

 

このように助動詞には2つ以上重ねて表現すると違和感が生じるため、基本的に重ねて用いません。


ただし、ここで例外になるのが、純粋な過去を示すことのできる完了表現のhaveです。過去分詞の状態を持っているという「一般動詞の他動詞」的な側面があり、助動詞として扱いつつも一般動詞の要素を一部保っています。

 

He has played the piano for four hours.

→(c)He will have played the piano for four hours in a few minutes.

→(d)He can have played the piano for four hours as far as I can see.

 

そして、このような助動詞として例外的なhaveの使い方は、助動詞の後ろにおく不定詞のみでなく、toの後ろに不定詞をおく表現、動名詞や分詞などでもこの完了表現のhaveを使うことができ、本来は法を用いて表現する時間の概念の一部を助動詞と一般動詞の中間的な立場で表しています。

 

とはいえ、通常の現在完了もそうですが、必要があるから使われる、という前提です。(※但し、以前の記事に書きました通り、実際の会話などではただの過去形として使う場面がかなり増えていると思います。)

 

まとめ

・助動詞の後ろは動詞の原形(つまり不定詞)をおきます。

・通常の助動詞は法(話者の考えや感情)を活用して表現するため、1文の中に1つしか入れません。意味的、時間的、など必要な表現を通常の動詞で組み合わせて表現します。

・完了形の「have+過去分詞」に対しては、haveが助動詞であるにもかかわらず特別なカテゴリでもあるため、完了表現に対しての法を加えるという表現として助動詞を付けることが出来ます。「助動詞+完了表現」の組み合わせが作れると把握しておきましょう。

 

※補足
・フランス語などを学ぶと分かりやすいですが、助動詞としているものも本来は通常の動詞です。活用もしていますが、活用した結果無変化となるのがほとんどです。

・"to+不定詞"でなぜhave以外に法動詞[助動詞]が使えないかというと、上述の通り、法動詞は主語と組み合わせて活用をするときに初めて使うことが出来るためです。動詞の活用で法を表現するのが原則であるためです。法を表現できないところで法動詞は使うことが出来ません。ですので、意味上用いたい表現については、法動詞でない動詞表現で代わりに用います。

 

 

今回は少し長めでした。一度まとめてみたい内容だったため、一部勢いで書いています(笑)間違いなどが分かりましたら、そっと直してますので、見逃してください←

 

いかがでしたでしょうか。不明点や疑問点などあるようでしたら、ぜひコメントいただけると嬉しいです。

 

 

 

ではまた(=゚ω゚)ノ

 

※2023年7月12日 補足に追記しました