これまでに引き続き、「ブレイクスルー 改訂二版 新装版 英文法36章 ワークブック」(K. Yoshinami 他、美誠社、2015年)というものがあるのですが、その中から気になったものを書き出してみようと思います。
※著作権のことなども考えて、本文そのままは掲載しません。また、個人的な見解を含む場合があります。ご承知おきください。
また、今回もあえては載せていないのですが、これまでの記事にもあれこれと書いていますので、気になる方は以前の記事をご参考にしてみてもらえると色んな記事を読めるかなと思います。(読むか読まないかはお任せします。ご自身の都合や調子などを優先してくださいね。)
では問題を見ていきましょう。最初に解くために必要な内容を簡単にまとめてみます。
いずれも問題箇所の前後だけでなく、英文全体で意味や状況を捉えて、一番自然なものはどれか、を考える前提です。
p.20 3-(1)(2)(3)(4)(5)
・( )には1語を入れる前提で、考える問題です。ちなみにmustn'tという短縮形もありますが、イギリスで特に好まれるそうです。そのため今回はあまりこの省略形を考えずに解いてみると良いと思います。
・1-(1)(2)(3)、2-(1)(2)(3)と同じく、これまでに書いた通り部分英作文問題なので、半分以上は知識問題です。全体の意味の把握、そして、ここは何の問題であるか、問題文を正確に確認して、ヒントもページ全体で書いてないか、確認してみてください。
ここまで把握できていれば、解く事自体はできるのではないかなぁ、と思います。
1.単語など知識面
>>hard, had, grade, exam, for a long time, library, information, about, eaten
今回の中ですとこれらの発音、綴り、意味を把握できているか、改めて確認しておくと良いかもしれません。読み方は確認しておけると、意味を押さえる際にも役に立つのではないかなと思います。ちなみに、3-(1)では、had, bad, last, examが同じ母音で韻を踏むようなリズム感もあります。
まとめに各表現の、今回の問題における意味の一例をあげてみますね。
まとめ1
・hard「懸命に」, hadはhaveの過去形, grade「成績」, exam「試験」, for a long time「長い(時間の)間」, library「図書館」, information「情報」, about「~について」, eatenはeatの過去形、といった意味で覚えられると作文や読解でスムーズに取り組めるかもしれません。
2.答えの考え方
これまでの記事( can / may )で書きましたが、実はこの問題のページ内をしっかりと読めば、mustもしくはhave toを使うということは分かってもらえるのかなと思います。1-(1)(2)(3)ではbeが分かればおおよそ答えられましたが、今回の3-(1)(2)(3)(4)(5)では動詞や形容詞で、基礎的なレベルではあるかもしれませんが、単語の知識面が習熟できているかが問われます。(1)study、(2)wait、(3)go、(4)talk[speak]、そして(5)hungry、です。それぞれ読みと綴りの一致が、苦手な方はとことん苦手かもしれない語ではあります。
mustそして書き換え表現として用いるhave toについて基本的な意味を確認してみたいと思います。どちらも次の2つの意味について良く扱われるようです。
(i)「~(し)なくてはならない」「~する[~の]義務がある」
(ii)「~(する)に違いない」
また、法動詞であるmustは特に主観的な義務や責任のようなものを話者や書き手が考えている場合には特に好まれます。(法動詞とは日本語で言う助動詞のことなのですが、この定義についてはこの記事で触れております。)
mustそのものの定義は単語がそういう意味なので、という覚え方ではあるのですが、have toはなぜ?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
to+不定詞は「~する義務」という意味合いを持っている場合があります。have to+不定詞は「~する義務を持っている」という意味です。haveはあくまで「~を持っている」という他動詞で一般動詞です。
さて、書き換えでよく使われるmustとhave toが明らかに意味の異なる使い方をする場合があります。
次の①②は、細かなニュアンスや使用場面の違いがある場合はあるものの、同じように「彼は懸命に勉強しなくてはなりません。」という意味です。それぞれの例文の横に、少し厳密に訳した場合の和訳例を書いてみます。
①He must study hard. 「彼は懸命に勉強することをしなくてはなりません。」
②He has to study hard. 「彼は懸命に勉強する義務を持っています。」
さて、問題はここからです。否定文にした時にどうなるか考えてみましょう。
③He must not study hard. 「彼は懸命に勉強しないことをしなくてはなりません。」
④He does not have to study hard. 「彼は懸命に勉強する義務を持っていません。」
意味の違いは把握してもらえましたか。③は禁止(否定の義務)、④は不要(義務の否定)、を表しています。これは英文の構造上から発生しています。
③はHe + must + not study hard.
notの否定している相手がstudy hardなので、studyもしくはhardの否定です。「懸命にはしない」なのか「勉強しないことを懸命にする」のかは文脈に寄りますが、通常はhardの部分否定とみられることも少なくないと思います。
④はHe + does + not have + to study hard.
notの否定している相手がhaveなので「持っていない」というのが文全体の主な意味です。何を持っていないのかを見てみますと、to study hard「懸命に勉強する義務」を持っていないということです。そのため「義務が無い」という意味合いの英文です。このため、身近な日本語では一番意味の近い「~する必要が無い」という日本語で和訳を覚えることが多いのではないでしょうか。
それぞれの問題の考え方を少し掘り下げてみます。
3-(1)
日本語にある通り、現在形で示す内容であるため語数で解答を考えれば、解けます。日英作文の際に、後半の英文が前半の理由を示していますが、becauseなどはなく2文で示しており、時制は揃える必要がありません。前半は現在形ですが、後半は過去のことなので、hadというhaveの過去形を用いています。
3-(2)
日本語にある通り過去形を用いると推測します、かつ、mustは過去形が作れず、過去形を作りたい場合はhad toを用います。
(条件などはあるようですが、過去のことでもmustを用いる事はあります。これについては今後機会があれば書きますが、過去の文脈でmustがリーディングなどの際に出てきたら確認してみてください。)
3-(3)
日本語から考えますと、現在形であり、mustでは表現できない「~する必要が無い」という言い回しを表すのが、do not have toです。日英作文の際に"get information about ~"「~についての情報を得る」という表現を書けるようにしておくとスムーズかもしれません。
3-(4)
こちらも日本語から、have toでは表現しない「~してはいけません」という言い回しを表現するのがmust notです。talkでもspeakでもOKなのですが、「私語をする」という日本語に対して1語で書けるようにしておくと、日英作文の際にはスムーズかと思います。
3-(5)
ここは語数でどちらの表現を入れるか考える問題です。読解の面では、itがthe dogであること、not ... anythingで「何も…しない」という表現、と言ったところを把握できるとスムーズかもしれません。
まとめ2
・must, have toは肯定文で「~(し)なくてはならない」「~であるに違いない」という義務や推測を示します。
・must not doは「~してはならない(禁止)」、do not have to do「~する必要はない(不要)」を示します。
・過去の義務「~しなくてはならなかった」のような意味合いでは基本的にhad toを用います。
今回はこの辺で。いかがでしたか。
分かりづらいところもあるかもしれません。何か不明点などあればコメントいただけると嬉しいです。
ではまた(=゚ω゚)ノ
※this time I talked about: Breakthrough Upgraded English Grammar in 36 lessons Workbook by K. Yoshinami and others, BISEISHA, 2015.